『うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。』
泣いた。
話は、
若くして凄腕の冒険者として認められている青年が、“咎人”として片角を折られた幼い魔族の少女と出会ったことから始まる。
魔獣の棲まう森で“親”らしき死体の傍で生き延びていた少女を拾い上げた青年は、
親バカになった。
孤独を知り、恐れ、それから救い出してくれた青年に対する無湖の眼差しに、“若さ”を舐められまいと片意地張っていた思いが癒やされる。
そんな二人に周囲もほだされる。ほのぼの。
森で親と、青年と二人の世界が次第に様々な人ともので広がってゆくが、温かいものばかりではなく、悪意にも曝されが、それを乗り越える健気な姿に涙するのです。
一巻の段階では、少女が魔族であること以外は不明で、何故“咎人”とされたのかは判りません。が、少女は自分が“咎人”という存在であることは判っています。曝される悪意というのは、少女の出生に関わる秘密とかではなく、所謂“人種差別”的な、云ってしまえば、我々の日常のそこら辺に転がるもので、国や世界を揺るがすような壮大なものではありません。が、故に、身の回りの問題として、少女に非常に感情移入し易くなるのです。
が、しかし、だてに“ファンタジー”を題材にしているわけではなく、真の問題は別にあったのでした。“ファンタジー”的なね。
“壮大”では(現時点では)ない、アットホームな物語でほっこりさせられつつちょっと涙してみませんか。物語に登場するガヤやモブのように、温かく見守りたいのです。