“ミラクル3”とは、
“技”、“力”、“反則”を兼ね備えた“奇跡”の“3”で、悪役レスラー養成機関『虎の穴』からタイガーマスクに送り込まれた最強の刺客で、タイガーも死を覚悟するが、
蓋を開けてみれば体格の似通ったそれぞれの専門レスラーが入れ替わっていただけというお粗末さ。
…というのは原作版のお話。
アニメ版タイガーマスクの“ミラクル3”は虎の穴の総帥にして最凶レスラー、タイガー・ザ・グレートに冠せられた異名であったのだ。
アニメのタイガーマスクの、殊に最終章は屈指の出来だと思います。
虎の穴の三幹部(当初は“ミラクル3”とはこの三人のことと思われた)を撃破したタイガー伊達直人の元にグレートからの挑戦状が届く。養成所時代から噂に聞いていたグレートとの対戦に恐れを抱きつつも、長く続いた戦いもこれで最後と己れを鼓舞する。
果たして、戦いは熾烈なものとなった。技と力と反則技が高度に融合したミラクル3タイガー・ザ・グレートに翻弄されるタイガー。
場外乱闘で壊れた放送席の礫材にマスクが絡み身動きが取れないタイガーに、別の木製の机をへし折り、ささくれ尖った部分を槍のように繰り出すグレートの攻撃を間一髪で切り抜ける伊達直人。
絡まったマスクを脱ぐことで窮地を脱したが、結果、隠してきた正体をさらけ出すことになってしまい、直人は静かに涙を流す。泣きながら瓦礫に埋もれ、グレートに刺し貫かれてボロボロになったタイガーのマスクを拾い上げるが、再び虎の覆面を被ろうとはしない。
直人の威容に圧倒されていたのか、黙って立っていたグレートに直人は「虎の穴で教わった全てを今返す」と宣言。言葉通りに悪役レスラー養成機関虎の穴卒業生伊達直人として、正統派レスラータイガーマスクとして封印してきた反則技のオンパレードでグレートを圧倒する。遂にはグレートを降すのだが、正体を知られてしまった直人は人知れず姿を消すのであった―。
いやぁ〜。屈指の名エピソードだと思いますね。
泣きながら最強にして最凶、最悪の敵と戦う。戦いの後に姿を消すというのは、『仮面ライダークウガ』にも共通しますが、こちらも名作ですね。