技を相手に知られていないというのは、かなりのアドバンテージです。
格闘技に於て未知の武術であったグレイシー柔術は世界を席巻し、
既知のマウントポジションはありふれた技となっております。
相手が何をするか判らないというのはかなりの心理的負担を強いられるもので、
仲々にこわいものがあります。
既知外を恐れる心理を突くのは兵法として常道でして、極端に判りやすい例としては、ブルース・リーの“怪鳥音(声)”。
相対してる人間がいきなり意味不明理解不明な叫び声を上げたり唸り声を発てたりすれば常人ならば
「いや〜ン ナニこの人、コワ〜い」ってなりますがな。ヤンキーの
「しゃあぁぁッスぞ?!」、「ごるぅあぁああッ!?」も同じですな。威嚇して相手より精神的に上に立とうという、非常に理に叶った戦法であります。
まぁ、戦法は兵法。心理的駆け引きですが。
さて、ここで登場するのがウルトラマン。
相手は、手や足以外に尻尾やら角を持ってたり、火を吐いたり光線を放ってきたり、技処か何をしでかすかまったく判らない相手の対処をするプロフェッショナル。彼の戦闘スタイルというか構えは、やや前傾姿勢で前方に両手を伸ばして軽く腰を落とし浅く足を広げています。
視界を妨げない位置で顔、胸を守るように手を置き、前傾姿勢で腰を落とすことにより急所(?)を遠ざけると同時に、前に伸ばした手と前傾であるこの姿勢は前方に重心を移し易いので、重力を利用した前のめりダッシュを可能にするこの構えは、非常に理に叶った異種格闘技向けの構えと謂えましょう。実態は中の人が火薬にビビって腰が引けているだけなのですが、“爆破”という未知に対する恐怖が万能の構えをとらせたのです。多分。