晩年の『人間臨終図鑑』が話題になった山田風太郎。
風太郎といえば“忍法帖”シリーズ。オダジョー主演の『甲賀忍法帖』の出来は酷かったですが、
せがわまさき作画の『バジリスク』はファンも納得の出来栄え。
さて、忍法帖には忍者だけでなく様々な有名無名、はたまた架空の剣豪達人が登場します。忍法帖を時代劇といっては抵抗がありますが、時代劇小説のファンで喧々囂々、侃々諤々の議論、論争がなされているのが、
「最強の剣客剣士は誰か?」です。まぁ、決着は着きませんけどね。
さて、山田風太郎は『魔界転生』でこの回答に応えています。
風太郎作品では珍しく、同じ(キャラクターの)主人公が別作品の主役を務めるというので、かなりの思い入れがあると推測できます。
まぁ、『魔界転生』は何度も〜〜映像化、劇画化されてますので判ってられる方も多いかと思われますが、それが、
柳生十兵衛三厳です。
『柳生忍法帖』では、一歩退いて女衆に戦い方を伝授してますが、珠の戦闘では圧倒的な強さを魅せます。
山田風太郎も十兵衛のキャラクターを惜しいと思ったのか、基本的に一作一主人公(一主人公、一作のみ)のスタンスに例外を持ち出して『魔界転生』の主役に据えました。まぁ、『柳生忍法帖』の十兵衛と『魔界転生』の十兵衛が同じキャラクター(人格)かは明確にされてませんけど。
『魔界転生』では死した豪傑が全盛期の力を持って甦るという、時代を越えた夢の共演が展開されるのですが、
全盛期の力+魔界転生で精神(理性)の箍が弛くなって、封印してた秘奥義とかも繰り出してくる豪傑を十兵衛はバッタバッタと斬り倒してしまいます。
ここで、最強の剣士になった十兵衛に山田風太郎は一つの疑念を持ちます。
「十兵衛に相応しい相手は果たしてもういないのだろうか?」
その答えが、
『十兵衛、死す』です。
最強剣士の柳生十兵衛を殺すのは、一体誰か?
よかったら読んで下さい。
ファン推奨のせがわまさき作品は『柳生忍法帖』は完結して、現在は『魔界転生』が連載中です。
終わったら次は『十兵衛、死す』に違いないと、ファンは願望込みで睨んでいます。