被造物が造物主、創造主に対して反抗することを“フランケンシュタインズコンプレックス”ということを、『屍者の帝国』を読んでて思い出しました。
まだ触りしか進んでませんけど。
ちなみに、よく生体の人造人間自体を「フランケンシュタイン」と云いますが、正確には「フランケンシュタインズモンスター(フランケンシュタインの怪物)」で、フランケンシュタインとは怪物を造った博士の名前になります。
怪物自身には名前がなく、博士が新たに造ろうとした二体目には便宜上の名前が付けられてはいましたが。
被造物対造物主ではありますが、外見こそ醜い“怪物”だが中身はまっさらな“人間”であると主張する怪物が整った容姿を持つ博士に、お前こそ“怪物”だと糾弾する場面は白眉ですね。
ラストの、自分を追って来た博士の死を看取り、本当の独りぼっちになってしまったと哭きながら雪原に消えるシーンも含めて、怪奇小説の元祖(広く世界に知れたという意味で)にして最高峰にある作品だと思われます。
余談ですが、『吸血鬼ドラキュラ』と『フランケンシュタインの怪物』は同じ(心霊)サークルのコンペ作で、同コンペで出された他の作品は狼男ものではなく、ミイラものだったそうです。
『怪物くん』のお供も、ひょっとしてたらオオカミ男ではなくミイラ男だったかも知れませんね。
―しかし、よく考えたら「オオカミ男」は種族名(?)であって名前ではありません。曲がりなりにも(親の)名前である「フランケン」より酷いですね。まぁ、「ドラキュラ」も正確には仇名みたいなもので名前じゃないですけどね。
余談でですけど脱線しますが、吸血鬼というのは霧や蝙蝠、狼に姿を変えるとされ、次第に蝙蝠に変わる一族と狼に変わる一族との分類になり、いつの間にか吸血鬼(蝙蝠)と人狼は仲が悪くて対立しているという扱いになってますね。