淀川区西中島南方

催し物を仕切るイベント屋というものがありまして、
その倉庫には大量の衣装があります。
過去作はもそうですが、現在放映中の作品も定期的に洗濯、日干し虫干しが必要なのです。イベントが少ない平日に行われるので、
電車から、倉庫のシャッターの隙間からカラフルな干し物に混じって、だらしなく垂れ下がった怪獣(怪人)を見かけた人もおられるのではないでしょうか？

まぁ、皆さまも洗濯、部屋干しをされたことが皆無などということはなく、また、せっかく洗濯したのに服が臭いということを経験されたことがある人が殆どだと思われます。
まぁ、色々理由があるようですが、一番は“生乾き”でしょう。
で、着ぐるみの衣装というのは、大抵が生地が厚いのです…
で、衣装によっては使っている材質に因って水はご法度というものがあるのです―… 余談ですが、『仮面ライダーアギト』という作品で、アギトの亜種にギルスがいるのですが、シリーズ史上最多の「水落ち」回数を誇るのですが、過ぎた水落ちに由り衣装が腐ってしまったので廃棄されざるを得ない事となり、数年後のシリーズ別作品では強化態がいきなり登場する事態となりました。主役キャラではないのに。

とまれ、まぁ、経年劣化はどうしても宿命ですが、多少の手入れで飛躍的に寿命は延びるのです。皆さまの内にも「このジーンズは絶対洗わない！」という人もおられるでしょう。
…またしても脱線してしましたが、はたしてこのような衣装は凄まじくコウバシイのです。
いや、心配めさるな。外側は動く際に留めきれないフレグランスが溢れるくらいで、それ程被害は(少)ない。
―では、内は…？
―『宇宙の騎士テッカマン』という作品がありまして、テックシステム適合者がテックスーツを装着してテッカマンになるのですが、そのシークエンスに於いて、装着者は強烈な激痛に見舞われるのです。然も、装着限界は33分のリミットつきです。
前置きが長くなりましたが、長年熟成されたビンテージものの衣装というのは、着用者にもの凄い覚悟を決意させる程の悪臭を篭らせているのです。歴代の汗を吸い発酵したウレタン素材、それを樹脂、或いはラテックスで完全コーティング―。
牛乳を拭いて放置された雑巾？酔っ払いのゲ○？　
そンなものは生温い。
チャック、或いは留め金が締められて外界とは切り離される恐怖は、『岩窟王』もかくや。
『ロボコップ』の?の時はスーツの出来が悪くて30分以上は演技が出来なかったらしく、『ゴジラ』は10分以上だと死の危険があったそうです。
まぁ、臭くても死にはしませんけどね。鼻が慣れます。慣れちゃいます。っつーか、麻痺します。

お面の下の涙は拭えンのです。

ちなみに、衣装が新品の下ろし立てなのも、実は結構厄介なのです。溶剤、接着剤や塗料の臭いでラリる事があります。