アート運転代行大阪
大阪府公安委員会認定 第620292号
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波除 運転代行

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『子連れ狼』に於ける“水鴎流”は別段「首斬り」に適したとか特化した剣術ではありません。柳生烈堂が公儀介錯人の地位と役職を欲して娘婿の拝家を策略によりとり潰して柳生新陰流が成り代わったように、腕がたてば流派は問わなかったようです。
ちなみに、柳生新陰流ですが、「新陰 流」ではなく「新 陰流」です。上泉伊勢守信綱が「愛州陰流」より興したのが「新陰流」で、柳生石舟斎宗巌は二代目宗家で、新陰流の中興の祖。
閑話休題。さて、一方で“刀剣改め方”という部署には在籍者の修得流派に拘わらず、“試し(斬り)剣術”というものが用いられます。献上されたものや押収した刀の切れ味を試すもので、所謂“据え物斬り”というヤツで、ただ“斬る”為だけの剣術です。薪割りやら畑に鍬をやら鋤、鶴嘴を振り降ろす所を想像して貰えればよいかと。
“三つ胴”やら“胴二つ”というのは、三段重ねと連続二回で、“胴”は、
想像できるかと思われますが胴体です。つまり人体。罪人の死体が使われたということです。多分… 大抵… 畏らく…
三つ胴は結構出来たらしいのですが、五つ胴になると“腕”だけでは如何ともしがたかったようで、高所から飛び降りて斬ってたそうです。
とまぁ、このように、反撃して来ない木偶を“斬る”為(だけ)の剣術ですので、“防御”というのはまったく考えられていません。なので、凡そ実戦にはまったく向いていません。
前置きが長かったですが(はぁ〜)、この実戦には不向きの剣術を使った小説があります。
『一夢庵風流記』や『影武者徳川家康』などの隆慶一郎の
『鬼麿斬人剣』がそれです。
刀鍛冶師“四谷正宗”源清麿の弟子鬼麿は忌の際の師匠より、
「数打ち(質より量の手抜き)した駄作を見つけて折れ」と懇願され、刀捜しの旅に出る。
師匠と(半ば戯れに)打った余人には到底使いこなせない長刀を得物に、
長尺巨躯の身体がとる“試し剣術”の一種独特の構えから、己れの制空圏(半径凡そ3m)に入った物全てを、斬る。
使用する剣術が特殊なだけではなく、主人公のキャラクターも魅力的。
男前ではないが愛嬌のある顔と性格で、清麿に恥を掻かされ、数打ちの駄作を打った清麿の名声を地に落とそうとする伊賀同心の頭領の娘をも惚れさせる漢っぷり。純情一途の夢枕獏の『怪男児』のあやめにも通じる(こちらは童貞)。『俺物語』の猛男も良いのです(キスは経験)よ。

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